【髪バナ 14】ヘナを使ったカラーリング
キリ そういえば、URU SALONにはヘナカラーのメニューがないですよね。髪に良さそうなのに。
布施 確かに、ヘナは100%天然成分でできていて髪を全く傷めないので“髪にやさしい”カラー剤ですね。しかしヘナにも長所と短所があり、ウチの場合、短所を考慮した結果サロンでの取扱いを止めました。
キリ ヘナにも短所があるんですね。
布施 まず、ヘナについて簡単に説明しましょうか。ヘナは中近東からインドの方に自生する植物の葉を粉末状にしたもので、インドなどでは古くから毛染めだけでなく、アーユルベーダの薬草として、またペインティングの染料として使われてきました。通常、ケミカルのヘアカラー剤で髪を染めるということは、薬剤で髪に化学変化を起こし染料を髪の内部に無理矢理定着させることを指しますが、ヘナの場合は天然の染料成分が髪のタンパク質とうまく結びつくため、この作用で髪に色が入ります。よって、髪を傷めないんですね。また、ヘナがタンパク質と結びつく際に髪の表面に薄い膜を作って髪をコーティングするので、髪にハリとコシを出してくれます。
なぎさ 髪に良さそうなのは伝わりました。
布施 では、短所について説明しましょう。まずは、色がオレンジ系のみなので、自由に選べないというところです。天然のインディゴ染料(藍色)を混ぜて色を調整することもできますが、基本的にはヘナ本来の色であるオレンジがベースです。ですので、流行や気分によってカラーを定期的に変えたいという方には向いていません。また、ケミカルなカラー剤と違って暗い色の髪を明るくすることはできませんので、白髪や明るい色の髪はきれいに染まりますが、黒髪の場合は色がほとんど変わりません。
さらに、先程長所として挙げた“髪のタンパク質と結びついて薄い膜をつくり、髪をコーティングしてくれる”という点は、パーマ剤などの侵入をも阻んでしまうという点ではマイナスになります。要するに、ヘナをした髪はパーマがかかりにくくなるのです。また、このコーティング効果によってもたらされる髪のハリとコシは、指通りサラサラ状態の髪が好きな人は苦手かもしれません。
なぎさ 友人で、ヘナをしてたんだけど色に飽きちゃって、普通のケミカルカラーに戻そうとしたら「ヘナをした髪にはケミカルのカラー剤が入らないのでできません」って美容師さんに言われた人がいるんですけど、ヘナって一度髪に入れると抜けないんですか?
布施 そうなんです。試したことはないですが、とても強力なブリーチ剤でも使わない限りへナの色素は抜けないと聞いたことがあります。でも、それだと髪がボロボロに傷むので本末転倒ですね。
キリ ということは、ヘナカラーを始めるとケミカルに戻れないので“これからはずっとヘナでいく”っていう強い覚悟が必要だね。
なぎさ パーマがかけられないのは少し不便だしね…。ちょっとハードルが高いわ。
布施 でも、髪を傷めずにカラーリングできるというのはやはり大きな利点です。問題なのは、短所を理解せずに軽い気持ちでヘナに手を出してしまうことにあります。美容師さんの中にはこの辺の細かい説明は一切せずに“髪に良いから”と気軽に勧めてくる人もいるので、よく調べることが必要ですね。また、最近はヘナだけでなく漢方やハーブで染めるカラーや、ケミカルのものでも髪にやさしい成分が入ったカラー剤もありますので、美容師さんに相談しながら自分に合うものを決めてください。