髪バナ

【髪バナ 14】ヘナを使ったカラーリング

arche8_2

キリ そういえば、URU SALONにはヘナカラーのメニューがないですよね。髪に良さそうなのに。
布施 確かに、ヘナは100%天然成分でできていて髪を全く傷めないので“髪にやさしい”カラー剤ですね。しかしヘナにも長所と短所があり、ウチの場合、短所を考慮した結果サロンでの取扱いを止めました。
キリ ヘナにも短所があるんですね。
布施 まず、ヘナについて簡単に説明しましょうか。ヘナは中近東からインドの方に自生する植物の葉を粉末状にしたもので、インドなどでは古くから毛染めだけでなく、アーユルベーダの薬草として、またペインティングの染料として使われてきました。通常、ケミカルのヘアカラー剤で髪を染めるということは、薬剤で髪に化学変化を起こし染料を髪の内部に無理矢理定着させることを指しますが、ヘナの場合は天然の染料成分が髪のタンパク質とうまく結びつくため、この作用で髪に色が入ります。よって、髪を傷めないんですね。また、ヘナがタンパク質と結びつく際に髪の表面に薄い膜を作って髪をコーティングするので、髪にハリとコシを出してくれます。
なぎさ 髪に良さそうなのは伝わりました。
布施 では、短所について説明しましょう。まずは、色がオレンジ系のみなので、自由に選べないというところです。天然のインディゴ染料(藍色)を混ぜて色を調整することもできますが、基本的にはヘナ本来の色であるオレンジがベースです。ですので、流行や気分によってカラーを定期的に変えたいという方には向いていません。また、ケミカルなカラー剤と違って暗い色の髪を明るくすることはできませんので、白髪や明るい色の髪はきれいに染まりますが、黒髪の場合は色がほとんど変わりません。

arche8

さらに、先程長所として挙げた“髪のタンパク質と結びついて薄い膜をつくり、髪をコーティングしてくれる”という点は、パーマ剤などの侵入をも阻んでしまうという点ではマイナスになります。要するに、ヘナをした髪はパーマがかかりにくくなるのです。また、このコーティング効果によってもたらされる髪のハリとコシは、指通りサラサラ状態の髪が好きな人は苦手かもしれません。
なぎさ 友人で、ヘナをしてたんだけど色に飽きちゃって、普通のケミカルカラーに戻そうとしたら「ヘナをした髪にはケミカルのカラー剤が入らないのでできません」って美容師さんに言われた人がいるんですけど、ヘナって一度髪に入れると抜けないんですか?
布施 そうなんです。試したことはないですが、とても強力なブリーチ剤でも使わない限りへナの色素は抜けないと聞いたことがあります。でも、それだと髪がボロボロに傷むので本末転倒ですね。
キリ ということは、ヘナカラーを始めるとケミカルに戻れないので“これからはずっとヘナでいく”っていう強い覚悟が必要だね。
なぎさ パーマがかけられないのは少し不便だしね…。ちょっとハードルが高いわ。
布施 でも、髪を傷めずにカラーリングできるというのはやはり大きな利点です。問題なのは、短所を理解せずに軽い気持ちでヘナに手を出してしまうことにあります。美容師さんの中にはこの辺の細かい説明は一切せずに“髪に良いから”と気軽に勧めてくる人もいるので、よく調べることが必要ですね。また、最近はヘナだけでなく漢方やハーブで染めるカラーや、ケミカルのものでも髪にやさしい成分が入ったカラー剤もありますので、美容師さんに相談しながら自分に合うものを決めてください。

【髪バナ 13】シャンプーにまつわる基本のこと

kamibana_13

なぎさ 先日友達との会話の中でシャンプーの話になったんですけど、彼女は髪が傷んでいるから、シャンプーの後にコンディショナーを使って髪をツルツルにした後さらにトリートメントで栄養補給をしているらしいんです。コンディショナーとトリートメントで2種類も使うのってやりすぎな感じがするんですけど…どうなんですか?
山田 2種類使うのは問題ありません。それぞれ働きが違いますからね。ざっくり言うとリンス(今はあまり聞きませんね…)は髪の表面をコーティングして指通りを良くするもの、トリートメントは髪の内部に栄養を入れて補修するもの、コンディショナーはその中間で、髪の表面に栄養を入れつつ、指通りも良くするというものです。ですから2種類使うのは問題ないですが、順番が違います。トリートメントで栄養を入れた後にコンディショナーでコーティングして閉じ込めるというのが正しいです。
キリ そういえば、先月URU SALONに行ったとき、「髪の毛が根元からベタベタしてますね、もしかして○○のシャンプー使ってません?」ってシャンプーのブランドを当てられましたね。
山田 これは結構知らない方が多いのですが、コンディショナーは、毛先から髪の中間部分につけるのが正しく、髪の根元にはつけません。根元は生えてきたばかりなので傷んでおらず、栄養を与える必要がないからです。

kamibana_13_2

また、キリさんのシャンプーを当てることができたのは、○○のシャンプー(Pから始まる有名なブランドです…)がシリコンを多く含んでいることで有名だからです。シリコンが髪をしっかり覆うので、根元からベタベタとした髪になってしまいます。
キリ シリコンって髪にいいという印象もありますけど…?
山田 シリコンも、サロンで売られているようなシャンプー・コンディショナーに含まれるものなら良いですが、ドラッグストアで売られているような価格の手頃な製品に含まれるのは、ただ強力に髪をコーティングするだけのものも多く、それらのシリコンは指通りはなめらかになりますが、髪に良いとはいえません。お客さまの中で、同じ○○シャンプーを使っている方がいらっしゃいましたが、強力なヘッドスパをしてようやく落ちる程、しっかりと髪にシリコンがこびりついていました。こういう状態の髪には、カラー剤が入らなかったり、パーマがかかりにくかったりするので、厄介なのです。
キリ シリコン入りの安いシャンプー・コンディショナーは買うなってことですか?
山田 うーん…毛先が傷んでバサバサになってしまった方には良いかもしれません。開ききったキューティクルをしっかりコーティングしてくれますからね。でも、コンディショナーを使うのはあくまで毛先〜髪の中間の傷んだ部分のみにしてください。
なぎさ そういえば、この前日本に帰ったとき、ノンシリコンの製品が増えていましたね。
山田 あと、お客さまのヘッドスパをしていて気になるのが、髪の量が多い方ほど頭皮の汚れがきちんと落ちていないということです。これはシャンプーの後、髪が邪魔して頭皮の汚れがうまく流れていないのです。シャンプーを流すときは、ただお湯をかけて流すだけでなく、指の腹で丁寧に地肌をこすりながら流してください。
キリ 普段の髪のケアでも、基本的な知識があるのとないのとでは、髪の状態が全然変わってきそうですね。

【髪バナ 12】1年を振り返って

top_urusalon_volumn12
布施 今気づいたんですけど、この“髪バナ”も連載12回目…ということは URU SALONもオープンして約1年…なんか感慨深いものがあります。
なぎさ URU SALONの1年を振り返ってみてどうですか?来られるお客さんってどういう人が多かったですか?
布施 ウチのコンセプトが“髪の病院”ということもあって、やはり美しく健康な髪を維持しようという意識の高い方が多いですね。それは男女問わずです。または、他の美容院で髪がボロボロになってしまったという方の駆け込み寺的な存在になれたのも嬉しかったです。
キリ わたしもURU SALONに通いはじめる前は髪がギシギシだったけど、今はパーマしてもカラーしても髪はサラサラのままです。不思議〜。
布施 髪のために色々気をつけていますから!
なぎさ お客さんの髪の悩みはどういうものが多かったですか?
布施 やはり、キリさんと同じ、タイに来て髪がギシギシになったという声が多かったですね。日本と違う環境に来て髪が傷んでしまったという方です。あと結構多いのが、縮毛矯正で髪がボロボロになってしまったという方ですかね。
キリ 縮毛矯正ってやっぱり髪に悪そうだもんね。
布施 縮毛矯正を完全に否定するわけではありませんが、やはり強い刺激を与えるものなので、経験のある美容師が、髪の状態をよく見ながら慎重に施術を行う必要があります。URU SALONに駆け込まれるお客さまの中には、縮毛矯正で髪の組織が傷みすぎて、もう切れる寸前…という方もいらっしゃいました。カットやトリートメントなど髪に負担の少ない施術ならともかく、パーマやカラー、ストレートといった髪に負担をかける施術を希望される場合は、価格やトレンドではなく、“きちんとした美容師が担当してくれるか”を基準に美容院を選ばれことをお勧めします。
なぎさ そのお客さんは結局どうなったんですか?
布施 トリートメントとカットを組み合わせて、傷んでどうしようもない部分を少しずつカットしていきながらケアし、何ヵ月かかけて髪の状態を整えていきました。今ではゆるいパーマをかけられるくらいにまで回復しましたよ。
キリ でも、髪のクセが強い人で縮毛矯正を止められない人って多いよね…
pic_urusalon_volumn12
布施 以前来られたお客さまで、強いクセ毛で悩んでいるという方がいらっしゃいました。色々な美容院に行きましたが「まず髪を真っ直ぐにしてからカットしないと、このクセでは髪型が決まらない」と、言われるがままに縮毛矯正を繰り返していたそうです。縮毛矯正は、確かに髪が真っ直ぐになりますが、その分ボリュームが無くなってペタンコになってしまうので、その後カットをしても結局髪型がきまらず、悩んでいるとのことでした。髪も結構傷んでいたので、ウチではカットとトリートメントだけで何とかしてみようということになり、クセをうまく活かした髪型を提案しました。「はじめてクセがきちんとおさまった!」と喜んでいただいたときはとても嬉しかったです。
キリ 1年間“髪バナ”やってて思ったのは、髪のことは、自分であれこれ悩む前にプロに相談しろってことかな。
なぎさ 確かに。

【髪バナ 11】タイ生活と髪のお手入れ

top_urusalon_volumn11

キリ 最近の暑さ、本当に容赦ないよね。
なぎさ わたしが旦那の赴任に伴ってタイに来たのがちょうどこの時期だったんですが、最初はスーパーに買い物に行って帰るだけでも暑さで疲弊しきっていました。
山田 本帰国や新たに赴任される方など、3月・4月は人の入れ替えが激しい時期ですね。
なぎさ タイで生活を始めて、日本でカットしてきた髪もそろそろ伸びてきたこの時期に最初にぶつかる壁が“美容院どこ行こう?”でした。とりあえずフリーペーパーで色々広告を見るんだけど、なかなか選べなくて…。
キリ だよね。で、口コミ情報を集めるために、会う人会う人に「美容院どこ行ってるんですか?」って聞きまくったなぁ(笑)。
pic_urusalon_volumn11
山田 それぞれのお店に特徴がありますから、いろいろ行ってみて、自分のお気に入りを探せばいいですね。URU SALONでも、何度も来てくださるお客さまは、“髪の病院”というコンセプトや、一人ひとりのお客さまときちんと向き合うために一日に少数のお客さまの予約しか受け付けていないウチの方針を気に入ってくださっている方ばかりです。
キリ わたしも、他の店でせわしなくぱっぱと髪を切られたのが嫌だったので URU SALONにしましたよ〜
山田 ありがとうございます!
そういえば、タイに来てご自身の髪に何か変化はありましたか?
キリ 髪がパサつきやすくなったかも。やっぱり紫外線のせいなのかな?
山田 パサついたりギシギシしたり、まとまらなくなったという声はよく聞きます。原因は大きく3つで、まずは水の違い、そしてシャンプーの違い、最後に強烈な紫外線です。水の違いはよく知られていますね。日本は軟水なのに対し、タイは硬水なので、慣れない日本人の髪はパサついてしまうんですね。
なぎさ なので、軟水器買いました。周りにも結構使っている人が多いですよ。
山田 硬水を軟水に変える機械ですね。実はシャンプーの違いというのもこの水の違いに関係してきます。日本に帰る度にシャンプーを大量に買って来られるという方が多いと思うのですが、日本のシャンプーはタイの水に合わないものがほとんどで、髪に違和感を感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
なぎさ それで行き着くのが美容院で売ってるシャンプーなんだよね。日本でそんなの買ったことなかったけど…。
山田 3つ目の紫外線に関しては、日頃から日傘や帽子で何とか避けるしかありませんね。また、パサつく髪への対処法として、一時的なものでは、洗い流さないタイプのトリートメントや、潤い感の出るワックスなどを使用する方法がありますが、美しい髪を長くキープするには毎日のケアを頑張るしかありません。理想は、定期的に美容院でトリートメントをしながら、家でもホームケア用のトリートメントをすることですが、なかなか面倒くさいという方は、美容院で髪を切る時に一緒にトリートメントをするだけでも髪の状態がぐんと良くなりますよ。
キリ タイって物価が安いのが魅力的だけど、美容に関しては、日本と同じクオリティーを維持しようとするとホントお金と手間がかかるよね。
なぎさ そうなの。でも、やっぱり“タイ人化した”とは言われたくないし…
キリ そういえば、タイ人って生まれたときから硬質の水を使ってるわりには、髪がきれいな人多いよね。
山田 タイ人の髪はとても強いんです。タイに来た日本人美容師がまず驚くのが、タイ人の髪のパーマのかかりづらさ、ヘアカラー剤の色の入りにくさではないでしょうか。見た目は同じ黒髪ですが、日本人とは根本的な髪質が全然違うんですね。

【髪バナ 10】炭酸を使ったヘッドスパ

head_hair_column

とび 人生初のヘッドスパ体験しちゃいました…いや〜予想以上に気持よかった!こんなに頭がすっきりしたのは初めてです。
布施 よかったです ! 汚れを取るだけでなく、頭皮の血行も良くなるので髪にはいいことずくめですが、それと同時に、マッサージで頭皮が柔らかくほぐれて頭がすっきりすることで、日頃のストレスから解放されたように気持ちまで軽くなりますよね。
とび 本当にそんな感じ。でも、どうしてシャンプーで落ちないような汚れが落ちるんですか?毎日自分でやっているレベルの洗髪ならともかく、美容院ではすごく丁寧にシャンプーしてくれるので、ヘッドスパをしなくてもそれだけで十分汚れが落ちてそうですが。
なぎさ 確かに。気分的なものより、具体的にどれだけ違うかっていうのはハッキリ見てみたいよね。
布施 その言葉、待ってました (笑)。では、ヘッドスパ前に撮影させていただいた、とびさんの頭皮の写真と、さっき撮影したヘッドスパ後の写真を見比べてみましょう。 (※マイクロスコープカメラで撮影)
“Before(写真)”では、毛穴の周りに汚れが溜まっているのが見えますか?この部分がシャンプーではなかなか落ちないんです。
なぎさ やだ、きたな—い(笑)!

hair_column_1
とび arche+の女性読者に僕の汚い毛穴を披露してしまうなんて…。何ともいえない恥ずかしさです。一応これでも昨夜はお風呂に入ってちゃんとシャンプーしましたからね!
布施 いえいえ、汚くないですよ(笑)。皆さん大体こんな感じです。自分が思ったより、毛穴に色々溜まっているでしょう。男性で育毛剤を使用されている方がいますが、この状態では育毛成分が髪の根元に届きにくく、効果が薄れてしまいます。誰が見ても、“After(写真)”のような毛穴なら、成分がぐんぐん入っていきそうに見えますよね。また、頭皮の血行がよいと、栄養分がきちんと髪に運ばれるため、髪が太く美しくなります。育毛も、美髪も全てはキレイな地肌と毛穴からなんですね。
なぎさ なるほど。女性、男性、髪型の違いなどによって、毛穴汚れの溜まり具合は変わるもんですか?
布施 そうですね。一般的には髪の量が多い方は毛穴が蒸れて汚れが溜まりやすいので、ウチでは、そういうお客さまが来られた場合はとにかく汚れを落とす施術を中心にします。反対に髪のボリュームの少ない方は、頭皮のケアを中心にしています。
なぎさ URU SALONのヘッドスパでは炭酸を使ってましたよね。炭酸の泡が毛穴の汚れを取り除く…ということですね。
布施 さすが、女性はお詳しいですね。炭酸の泡もピンキリですが、ヘッドスパには、“高濃度炭酸”と呼ばれる、泡がとても細かく泡密度が高い特別な炭酸を使っています。炭酸自体には汚れを除去する能力はありませんが、汚れにくっつく性質があるので、そのまま脂汚れを浮かせてくれるわけです。

hair_column_2
とび んん…何か専門的な話になってきましたね。炭酸の施術の最中は、何というか、“頭皮が細かい泡に刺激されている感”がすごかったです。
布施 炭酸はとにかく強力に汚れを落とすので、やりすぎると頭皮に必要な皮脂まで落としてしまい逆効果です。お店でやってもらう場合は問題ないですが、ご自身でホームケア用の炭酸ヘッドスパをされる場合は、説明書をよく読んでお使いくださいね。