ヘアカラー

【髪バナ 16】オーガニックカラーのお話

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キリ 先日URU SALONでカラーをしてもらったんですけど、あれ、オーガニックカラーっておっしゃってましたよね。髪によさそうなのはわかりますが、オーガニックでどうやって髪が染まるんだろうって、ちょっと謎に思いました。
山田 日本では今、様々なヘアブランドがこのタイプのカラー剤を出していますが、一般的に“オーガニックカラー”と呼ばれているものは、“オーガニック成分が配合されたカラー剤”と考えてください。100%のオーガニックはヘナのみになります。ヘアブランド各社のオーガニックカラーを見比べてみると、それぞれ何のオーガニック成分が入っていて、どういう風に髪によいかが記されているのでおもしろいですよ。ちなみに、URU SALONで使用しているオーガニックカラーは、オーガニックオイルを使って髪を染めるというものです。ヘアカラーは通常、アルカリ度数の高い薬剤で髪のキューティクルを開いて髪の色素を抜き、そこにカラー剤を入れます。(※カラーに関するお話はバックナンバーご覧くださいね)このキューティクルを開くという作業を、オーガニックオイルで髪をいたわりながらやるという全く新しいタイプのカラー剤なんです。
なぎさ なんかすごそうですね〜。ちなみに、何のオーガニックオイルなんですか?
山田 ブルガリアンローズとシアバターです。通常、キューティクルを開くと、そこから髪の色素と栄養が一緒に逃げてしまいますが、このオイルは内外から髪を潤しながらカラーをいれるというものなんです。ただ、髪に優しい反面、髪色をすごく明るくするのには向いていません。カラーレベルで8くらいまでの髪色を美しくつややかに染めるのに適しています。

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キリ 染めたあと、指どおりサラサラになりました。しかもいい香りだった!
山田 昔と違って、ツンと鼻にくるカラー剤は日本では少なくなりましたね。ヘア製品は本当に年々進化しています。実は、私の『髪バナ』登場は今回が最後になるのですが、これからもURU SALONから、髪によい新しいヘア剤をどんどんお客さまにご紹介できればと思います。私は、10月よりURU SALONシラチャ店に移動しますので、シラチャ在住の皆さま、どうぞよろしくお願いいたします!
なぎさ さみしくなるなぁ…。今までバンコクで多くの方の髪をさわってこられたと思いますが、特に印象深かったことはありますか?
山田 髪の悩みを抱えたお客さま、思い通りの髪型に決まらないお客さまが、駆け込み寺のようにURU SALONに来店してくださったのが嬉しかったです。お客さまと接していて感じたのが、“思い込み”によって自身の髪型の選択範囲を狭めてしまっている方が意外と多いということでした。例えば、強いクセ毛が嫌で縮毛矯正を繰り返していたお客さまが、傷みきった髪で来店されたとき、「髪を傷める縮毛矯正はやめて、
ストレートパーマでやさしく髪をのばしましょう。のびきらずに少し残ったクセは、カットでうまく活かして、似合う髪型を作っていきましょう。」と提案させていただきました。その方は、“クセ毛=真っ直ぐにのばす”しかないと思い込まれていたようで、クセ毛とうまくつきあうという発想は無かったそうです。“この髪型は自分に似合わない”という思い込みも同じですね。
キリ 確かに。ここでいろいろな話を聞かせていただいて、つくづく髪に対する無知さを思い知らされます。山田さん、ありがとうございました!

【髪バナ 15】白髪染めとおしゃれ染め

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キリ お盆は日本に一時帰国してたんですけど、そのとき母の白髪染めを手伝ったんです。泡でプシュッと出したものを髪になじませるタイプでしたが、すごく簡単で使いやすかったです。市販の白髪染めも進化してるんだなってしみじみ思いました。
山田 確かに泡タイプはとても扱いやすいですよね。ただ、市販の白髪染めは、安くて手軽だという理由から使用する方が多いですが、髪にとってはあまり良くないので、髪を傷めたくない方にはお勧めしません…。美容院での施術に比べて放置時間が短い⇒“手軽”と思いがちですが、短いということは、短時間で色を入れなければならない分、強めの薬が使われているということなんです。
キリ 確かに。母はパーマもかけていますが、結構髪が傷んでます。
山田 また、これは白髪染めだけでなく普通のヘアカラー(ここでは“おしゃれ染め”と呼ぶことにしますね)にもいえることですが、髪の色は人それぞれ違うため、例えば黒髪からアッシュブラウンにしたい…という場合でも、赤みがかった黒髪の方と青みがかった黒髪の方では、配合するカラーも本来は違ってきます。市販のものは“万人の髪向け”なので、思い通りの髪色に染められない…ということがよくあります。実際に、「市販の白髪染めを使ったら青っぽい変な髪色になったので直して欲しい」という感じでウチに駆け込まれるお客さまもいらっしゃいますが、この場合は、市販の白髪染めの色が変だということでなく、お客さまの髪色と、その白髪染めに配合されていた色素が単純にマッチしなかったということになります。
なぎさ 昔、美容院を変えた時に、いつもと同じ色を注文したのにできあがりの色が全然違ったことがありました。美容師さんでも人によって配合が違うからなんですね。髪色って繊細なんだなぁと思いました。
山田 日本の大きい美容院には“カラーリスト”と呼ばれる、カラーのスペシャリストがいるくらいですからね。ちなみにURU SALONの布施は、日本ではずっとカラーリストをしていました。ヘアカラーに関することなら何でも聞いてください。
なぎさ そういえば、白髪って年を取るごとに徐々に増えていくものだと思うのですが、どの段階でおしゃれ染めから白髪染めに切り替えるんですか?
山田 一般的には、髪の毛の15%〜30%が白髪になった時点で白髪染めに切り替えるといわれています。ただし、例えば同じ15%でも、全体的にパラパラと混じっている方と、白髪が一カ所にかたまっている方では染め方も変わってきますし、希望するカラーもそれぞれですので、一人ひとりの髪の状態によって変わってきす。人によっては白髪染めとおしゃれ染めの薬剤を混ぜて使う場合もあります。
キリ …ん? そもそも、白髪染めとおしゃれ染めってどう違うんですか?
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山田 簡単に言うと、まず配合されているブリーチ剤の量が違います。黒髪の場合、最初にブリーチ剤で黒の色素を抜いてからカラーを入れます。白髪の場合は色を抜く必要がありません。カラーを入れるだけなので髪にやさしく、その点はヘナカラーと似ていますね。(ヘナについては先月号のバックナンバーをご覧ください)もう一点は、カラー剤の色が違います。白髪染めは全てブラウンがベースに入っているので色が濃いんですね。
山田 ただ、最近は「白髪染めでも明るいカラーにしたい」という方も増えていますので、おしゃれ染めと白髪染めの境があいまいになってきているともいえますね。